「謎好き乙女シリーズ」瀬川コウ先生の最新作!!かなり期待して待ってました。連続殺人犯だと世間に思われている少女が双子の妹である主人公。
匿っている妹のことが大切であるけれど、本当に聞きたいことには踏み込むことができない…
なんとなく、その感情ってわかるような気がします。本当に知りたいことってやっぱり聞けなかったりするんだよね。それが近しい関係であってその関係を壊したくなければそれだけ…
謎好き乙女の時と同じように、小さな事件が複数あってそれら全てが、全体の事件に関わってくるという僕の一番好きな構成でした。次々と起きていく事件がとても興味深くて、気づけば時間を忘れて読みふけっていました!!
・あらすじ
ついに四人目が殺された。連続殺人の現場には謎の紐と鏡。逃亡中の容疑者は、女子高生・乙黒アザミ。僕の双子の妹だ。僕は匿っているアザミが何より大切で、怖い。常識では測れない彼女を理解するため、僕は他の異常犯罪を調べ始める。だが、保健室の変人犯罪学者も俺上げの、安全な吸血事件の真相は予想もしないものでーー。「ねぇ本当に殺したの」僕はまだ訊けずにいる。(裏表紙より)
・こんな人にオススメ
僕は、瀬川先生の前作である「謎好き乙女シリーズ」から入ったんですけど、今回のお話は謎好き乙女のポップなミステリとは違って、全体を通してダークな印象を受けました。
それがいい悪いって話ではなんですけど、謎好き乙女のような言葉の掛け合いを少し期待していただけに裏切られましたね…
まぁそんなこと表紙を見れば当然なんだけどさ、だって全然雰囲気違うじゃん!!これでポップな掛け合いがされていたらそれこそビックリだよ笑
講談社タイガにレーベルも移っていますし、読者層も新潮文庫nexよりも少し上がっていると思うので内容としてはとっても良かったんじゃないかなと思います!!
そんな感じで楽しんで読めると思うのは、普通のミステリを読むのは億劫だけど、軽いミステリには飽きちゃった人!!(なんだその微妙な層は…)
日常の中にある軽いミステリが読みたいって方には前作の「謎好き乙女シリーズ」から読んでもらって、それで物足りないようなら今回の本に入ってもらうといいかもしれませんね♪
あとは、西尾維新さんが好きな人は結構な確率でハマると思いますよ!!キャラクター主体で進んでいくお話と少し普通とは違った設定って意味で笑
・感想(ネタバレ注意)
瀬川先生の持ち味とも言えるとにかく魅力のあるキャラクター!!今回も本当にいいキャラがいっぱい出てきました☆
大学4年生にもなって現役中二病を患っている僕からしてみると言いたくなるようなセリフや真似したくなるような設定がたくさんありました。
主人公を含めて登場する全てのキャラクターが歪んでいるのは、僕みたいな中二病をこじらせた人間を狙ってのことなんでしょうか??
只々、カッコいい~っていいながら読んでたよ笑
作中後半にかけて、主人公の迷いがどんどん加速していく過程は読んでいてとても心が苦しくなるものがありました。
ミステリってよりは人間ドラマに今回は主眼が置かれていたようにも思えますね。
自分の見ている世界と隣で君の見ている世界はきっと同じじゃないんだって
そんなメッセージが込められていたんじゃないかな??
人の気持ちって本当にわからないし、自分ではわかっているつもりになっていても実際にはそれは全く別の何かだったりしますものね。
価値観の違いがあったとしても本当に大事にしたい部分が一緒であれば隣に立って一緒に歩いていけるのかってそんなことを考えさせられる作品だったと思います。
ある意味ここまで設定がぶっ飛んでいるのに、感傷的なミステリ作品も珍しいのかなって。
・終わりに
本当に、正直言ってしまうとこの本が誰にとってもお勧めできるというわけではありません!
いや、紹介しておいてなんだけどマジで!!
ぶっちゃけ人を選ばないって意味では謎好き乙女のほうがいいと思うもん
でも好きな人は絶対好きだと思いますね。ちょっと歪んだ感情がでてくる話ってやっぱり面白いんですよね。それに共感できる人と、共感できない人ってのがいるとは思うんですけど、人間の心の中にある黒い部分を見つめていける人には絶対にハマります!!
以上、SUMAでした!!